ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプノシスマイクの考察をせずにはいられないオタク。

久々に朗読劇に行ってきたの話

こんにちは、こんばんは、加藤です。

声優さんのファンをやっている者です。追いかけ始めてもう3〜4年くらいになります。

普段は伊東健人さんという男性声優にメロメロニャーンしています。ので、先日も朗読劇に行って来ました。

ので、その感想を書きたいと思います。

 

あれ?斉藤壮馬どこ行った?

 

 

朗読劇とは

台本を持ったまま、主に喋りの芝居で表現する舞台劇です。

俳優さんやタレントさんが出演される演目も多いですが、「声」に大きく比重が置かれるため、声優界隈でも多く上演されています。

読み聞かせとは違い、「役者」同士によって物語が紡がれることが特徴です。

 

朗読劇 ラヴ・レターズ

PARCO劇場開場50周年記念公演。

1990年に、役所広司さん・大竹しのぶさんのペアで初演が行われ、以後PARCO劇場で上演され続けてきた演目。

その日その夜限りのペアで、これまで500組以上によって演じられてきたそう。

 

実は今回の公演では、同劇場で上演中の舞台「ラビット・ホール」のセットがそのままにされていました。

というのを不思議に思ったのですが、Wikipediaによると「当初の10年間は、上演中演目の休演日などを利用し、舞台セットもそのままに上演されていた」ということらしく。

私は4/21のソワレを観劇したのですが、劇場スケジュールを確認したところ、なんと今回はマチネではラビット・ホールの上演が行われていました。そのソワレで別演目をやるという…

ずっと続けてきた演目を、今もそうやって続けているということで、これはすごい…と感動してしまった。

 

ということで、4月21日に上演された伊東健人さん×筧美和子さんのペアを観劇してきました。その感想です。

 

ラヴ・レターズ 4/21 伊東健人さん×筧美和子さん公演

舞台は20世紀アメリカ。それなりに恵まれた家庭で育ってきた、幼なじみのアンディとメリッサ。

文章を書くことが好きなアンディは、メリッサに手紙をいつも書いていました。お喋りの方が好きなメリッサは「電話してよ!」と言いつつも、思いの丈を綴ってくるアンディに、時々サボりながらも返信する日々。

成長した彼・彼女は、それぞれ寄宿学校や修道院へ。会えない日々も手紙のやり取りは続きます。

思春期を迎え、たまに気持ちはすれ違いながらも手紙のやり取りを続ける2人。

そして時は流れ、学校を卒業し、仕事に就き、気づけば彼は結婚。彼女も「芸術家になるわ」と世界を放浪した末、別の男性と結婚したのでした。

それでも続く彼らの手紙。2人は、パートナーでは説明できない以上の絆を得てしまっていました。

半世紀以上続く2人の文通。その内容を読み上げるだけのシンプルな台本。効果音もない中、ただ声だけが劇場に響く空間。ほとんど相手を見遣ることもなく続いていく言葉。

ラビット・ホールの舞台が組まれた静粛なPARCO劇場。伊東さんと筧さんだけのアンディとメリッサが紡がれました。

 

ということで、感想ですが、すっっっっっごい静かな公演でした。静かです!静かです!すっっっっげえ静かなので途中入場できません!とチケット購入段階から脅されまくっていたのですが、その名に恥じぬ静けさ。観客もこの空間の一部として、彼らの声に集中せざるを得ない、そんな公演でした。

伊東さんのファンとしての感想は、この役すっごい似合う、でした。

アンディは最初の方は本っっ当にメリッサのことが(友情か幼なじみだからか、まだ恋愛までは至っていないかもだけど)大好きで大好きで、でもたぶん内気な男性なんでしょうね。手紙ではあんなに言うのに、会った時にメリッサに強く踏み込むことはなくて、それがまた快活なメリッサを苛立たせたりしていました。その内気なお芝居がかなりはまってた。

筧さんの演じるメリッサもまた良くて。

声優さんを追いかけてる演技オタクからすると、すごく快活な感じのメリッサではなかった。ただ、そこがまたちょうど良かった。メリッサがまたもっとおてんばで男の人を転がすような感じだと、ちょっと伊東さんのアンディとは合わなかったかもしれない。

筧さんのメリッサは、それこそ「なんで私のこと好きならそうしてくれないの…!」ふん!と少しいじけるような感じで。なんだろう、アンディのことが好きなんだけど、吹っ切れないアンディに対してイヤイヤ期を発症しているというか(笑)それ故に自由人で他人のことなんて気にしないわよ、と育った感じがある飄々としたメリッサでした。それが最終局面に差し掛かって、立場が逆転していく瞬間というのがまた良かった。

伊東さんは巷ではサラリーマン声優と呼ばれるくらいサラリーマンな声をしているのですが、ラスト、堅実にかつ信頼に生きてきたずっしりとしたアンディにすごく合ってた。そして、逆に家庭も失い精神を病んでしまったメリッサとの対比が綺麗に浮かんできていました。あまりに空間に溶け込みすぎて、まるでお2人が本当に歳をとって喋っているかのようでした。

最後、照明がゆっくりと落ちる中、徐に筧さんが動いたかと思うと、身体をアンディの方へ向けて。暗転するまで、メリッサがアンディを見続けていたのがあまりに辛かった。

そういえば役者同士が目を遣ったのって、ここが最初で最後でしたね。

 

あとカテコ。1回目は両サイドに分かれてはけたのですが、3回目(2回目だっけ?)で、腕組んで帰って行ったのでオタクは、あ"ーーーーーーになりました。

いや、1回目もさ、両サイドにはける時に、伊東さんが筧さんの方振り返るんですよ。でも筧さんは振り返ってなくて。でも伊東さんが振り返るのやめた後、筧さん振り返ってたんですよ。そこまでアンディとメリッサで笑ってしまった。

あと最後腕組む時に、伊東さん顔がちょっと照れてたの見てしまい、オタクなんか恥ずかしくなってパルコに埋まりたくなった。パルコ…墓場にしてくれ……

 

朗読劇 ドリアン・グレイの肖像

私の主現場「声優が演じる」シリーズの朗読劇。未来永劫安心安全の保科由里子さんの脚本・演出でした。

シェイクスピアや古典演劇を元に朗読化するこのシリーズですが、今回の演目はオスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」でした。

 

ストーリー:

一際美しい少年ドリアンは、売れっ子画家のバジルの作品のモデルに。

ドリアンが描かれた肖像は、彼の美しい姿を永久にそのまま閉じ込めたような出来栄えでした。

それを見たドリアンは激昂。「自分ではなく、肖像が歳をとればよいのに!」と言い放ちます。

純真無垢で穢れのない美少年だったドリアン。

彼に「美しさの価値」を教えたのはバジルの友人、ヘンリー。

「今一番若い君が、本当に美しい」と称賛を送りながら「人間は快楽によって生きるのが最も美しいのだ」とドリアンに囁いたことが、全てのきっかけでした。

 

5月5日ソワレ 伊東健人さん、増元拓也さん、市川蒼さん、安野希世乃さん

会場に入ってまず目についたのが、演者達の立ち位置について。

この声優が演じるシリーズでは、いつもメイン演者の台が最も高く、端役になるほど低く設定されているのですが、今回は最も低い台に大きな額縁が設置されていたため、はて?となった。ドリアンの肖像が登場する作品のため、額縁の前に座るのはドリアンに決まっているのですが、それが一番低かった。

開演して演者が登場。一番高い台にはヘンリー、次がバジルかシヴィル、そして低い台にドリアンが着席。

それにしても、舞台に出て来た伊東さんを見てビックリした。超ピンクなブラウスを着ていて、何かが耳に反射して眩しい。それであ、何かピアスをしている…ということがわかりました。もうこれから演じるのが美少年だということが衣装から伝わってくる感じだった。

正直お話に関しては、私はドリアンみたいな人間が大嫌いなので腹立たしかった(一々ムカついてしまうため)(シヴィルにもややイラっとした)し、やはり古典演劇に出てくる人間はまとめて全員殴り倒すべきだと改めて思った。

物語については一旦置いておき、この公演の中で一番収穫だったのは市川さん。

開演してすぐ、暗転の中から喋り始めたのが市川さんだったのですが、もう一言目からすごい声優さんだわと瞬時に思った。なんだろう、何が良いのか説明しづらいんだけど、聞いてもらったら「あ、すごく良い」って思うと思う。聴き取りやすいし、なんだろう、声の緩急というか、力の抜き方と入れ方が上手い感じがする。ここぞ!という時のMAXのために、lowの演技を調整できるというか。そのlowの状態の演技が良いんですよね。あと過度ではないんだけど、相手の声をちゃんと聞いているからこそできるリアクションの表現が良い。シヴィルのながーい惚気を聞いている時のやれやれ…みたいな無言のムーブとかとても良かった。たぶん、あんまりブレないタイプの役者さんかなとふと思った。

あと増元さんなのですが、同じシリーズで散々優しい役をやってるのを見てるからなのか、全然悪に見えなくて困ってしまった(笑)もうどうしようもない。見た目が優しそうだもんえーーーーん……こういうのは神尾さん一択ですね本当に…神尾さん…もはや優しい役でも悪い人にしか見えないもん…

あと安野さん。シヴィルも良かったんですが、個人的に阿片窟の店員ぽい人がめっちゃツボだった。このシリーズの朗読、年齢も性別も違うモブを女性声優さんがまとめて何役かやることわりと多いですが、何回見ても本当にすごいなーと思います。今までで一番すごかったの、ロミジュリ再演の中村繪里子さんなんですけど、あんなにポンポンと身軽に、でもしっかりと変わっていくのすごいんですよ、本当に。

で、伊東さん。正直これはもう好みで、私の好きな感じじゃなかったから何も言えないけれど、4/21にラヴ・レターズやって、4/30に私の頭の中の消しゴム、5/5この朗読という3連チャンのかなり詰まったスケジュールだったから、かなり大変だったんじゃないかと思う。全部ハイカロリーだし。ただあの、バジルに近況を訊かれて不機嫌なドリアンがとても良かったです。伊東健人がやる精神不安定な役は精神安定剤なので…

ただまじで、本当にこれなんでかはわからないんですが、伊東さんショタっぽい役だけは難しいですね。特に声が低いとかではないので、声質が原因ではないのですが。サラリーマンが似合うことと関係がありそう。

 

朗読劇「私の頭の中の消しゴム

原作は韓国映画。若年性アルツハイマー病により、夫のことを段々忘れていってしまう女性。なんとか記憶を繋ぎ止めようと奮闘する2人。

夫婦それぞれの日記を読み上げていく形式で、闘病する夫妻の様子が描かれます。

2010年に朗読劇化され、今回で14回目の興行でした。

 

5月7日 斉藤壮馬さん×剛力彩芽さん

観劇した感想としては、まずラヴ・レターズを先に見てたから、これ朗読台本はラヴ・レターズから着想得てるなと思った。上演形式はかなり舞台寄りなので別物ではあるんですが、お互いの手記を交互に読んでいくのはほとんど同じ構成でした。ただこっちの方が演出上動きがあるので、朗読劇のストーリー慣れしてない人はこういう上演形式の方がしっくりくるかも。ラヴ・レターズはある程度時代背景とかがわかってやっと面白いところもあるので、その辺は現代らしいこちらのストーリーの方がわかりやすいなと思いました。

この日は千秋楽だったのですが、斉藤さんと剛力さんのペア、かなり良かったです。

まず斉藤さんですが、やや荒々しい気性の役ももう珍しくないくらい自然でした。個人的な体感として、こういう演劇っぽい朗読にはあまり出演されていない印象ですが、年齢が追いついてきたからなのか場数を踏んできたからなのか、今回は非常に落ち着いて見えました。落ち着きすぎて通常運転のアドリブで剛力さんを困らせていました。

剛力さんは、もうめっちゃすごかったです。女優さんてもう、すごいですよ。舞台に上がる人ってやっぱ凄いです。椅子に座って台本を読みながらの演技が非常に良かった。この公演では台本も読む以上に小道具として使われていたのですが、剛力さんはその小道具としての使い方が上手かった。あと、もう椅子に座ってボーっとしている薫の姿とか、もうそれにしか見えないんですよ。見てて辛くなってきてしまうくらい。今でもその姿をくっきり覚えているくらいには衝撃的で印象に残りました。

お2人は、剛力さんは身体で表現する女優というお仕事、斉藤さんは声で表現する声優というカテゴリーで活躍されている役者さんで。

そのお互いの得意不得意全てを埋め合わせながら、かつそれぞれの得意分野で物語を表現されていて、最高のペアだなと思いました。

ただ、カテコでリアコファンが爆発したのはかなり面白かったです。

 

 

さいごに

久しぶりにこんなに大量に朗読劇を浴びて気が狂いました。うそです、元気になりました。全て中々鬱なお話でしたが…強烈なGWでしたね。

3作品を見たわけですが、同じ朗読劇といってもそれぞれ雰囲気が違っていて勉強に(?)なりました。ラヴ・レターズとかほとんど演出がないなかで、劇をどう成立させていくのか、というのはやはり演者に委ねられているんだなと感じたし、私はその結末を見るのが好きで朗読劇に来ているんだなあ、と改めて思いました。

また消しゴムでは、斉藤さんはけっこう剛力さんに引っ張られていたかなと思うのですが、それこそ2人芝居の醍醐味で、1人ではできないことも2人で芝居をするから出来るんだと、強く感じました。あと、男性声優さんと女優さんのお芝居ってけっこう合うなとも思った。

以上、やっぱり朗読劇が好きだな〜と思った、初夏の現場祭りの感想でした。

私はこれからも声優さんのお芝居を楽しみにしていますし、私はこれからも、伊東健人メロメロニャンです。