ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプノシスマイクの考察をせずにはいられないオタク。

暇なのでアパレルの話をする

本当は繊研新聞とかWWDとか読んだ方がいいんだろうなと思いながら全然読んでいない加藤です。読んでください。

 

先月号だと思うんだが、本屋で装苑パラパラ見てたらスクウェア・エニックスの衣装デザイナーの方が載ってた。FFシリーズとか手がけられてる方ですね。

www.wwdjapan.com

これ見たのわりと最近で。全然余談なんですけど、私が一番好きなのはalice auaaです。だからバンギャとか言われるんだわ。ていうか検索窓に「alice auaa」って打ち込むと「たぬき」って出てくるのどこまでも逃れられなくて笑う。

 

でも今日は、ファッションの話じゃなくて「アパレル」の話をしたいと思って書き始めた。

前々からのんびり考えてたことで持論でしかない出来事なんだけど、書いて誰が読むわけでもないのでまあいっかと思った。

 

コロナ禍で大打撃を受けた業界って沢山あるじゃないですか。

旅行業・航空業・舞台業・飲食業とか。ライブイベントとかするところも。

その中でも、めちゃめちゃやばいところがアパレル業界で。なぜやばいかと言うと、以前から状況が悪かったところに、コロナでトドメを刺されたからという。

イベント業界とかは、業績が上がっていたのをコロナで中断せざるを得なかったという事態だったけど、アパレルは崖っぷちだったとこを後ろからトンと押された格好だった。

 

とは言っても状況がよくわからないので、経済誌の話を持ってこようと思います。

diamond-rm.net

「コロナは時間を早めただけ」

アルバイト先の店長(アパレル勤続10年目)にも聞いたが記事と全く同じ答えが返ってきた。コロナ前から、小売りがメインのアパレルの状況は良くなかったということらしい。

 

ここで、そもそも アパレル業界が最盛期だった時代 とは、いつだったかというのを見ていただきたい。

www.ecbeing.net

こちらの記事のグラフデータを見ると、売上高だけで見れば1990年辺りがピークだったことが伺えます。わたくしまだ生まれておりませんので肌感ではわかりませんが、アパレル関連の本読んでたりするとやはり賑わっていた時期なのかなと感じます。特に百貨店とか。

 

ちなみに日本で有名なブランドとして、コムデギャルソン・ヨウジヤマモトイッセイミヤケなどが挙げられると思いますが、これらは大体1975年前後に設立されています。高度経済成長が終わったくらいです。

その後DCブランド(デザイナーズみたいなやつ)最盛期が来て、1990年あたりに、バブルと共にアパレルのピークが来たという感じっぽい。

 

さて突然ですが、ここで「ユニクロ」や「GU」を運営するファーストリテイリングの売上高を見てみましょう。

strainer.jp

ユニクロが業績を上げ続けているというのは誰でも知っていることかと思いますが、グラフで見るとものすごいですね。グラフの読み方わからんからすごいということしかわからんけど。

 

なぜユニクロが海老反りグラフのように業績を伸ばしているのか素人には説明が難しいのですが「SPA生産」という方式の説明に便利なので名前を出しました。

ちなみにこの先の話のために、先にファーストリテイリングの歴史を読んでいただけるとわかりやすくなるかと思います。

the-shashi.com

要するにユニクロの元本は、もともと「廃れゆく町にあった紳士服屋」だったという話らしいです。炭鉱の町だったけど、石炭から石油へエネルギー革命が起こり、地元から人がいなくなっていったと。供給がないリジェット作品みたいで寂しいですね。

そして、そんな町から脱出を図るため、紳士服店は広島へカジュアルウェアユニクロ1号店」を出店します。

そんな感じで服屋さんを経営していた時、米国の「GAP」というお店が、中国にある現地工場と直接契約を結ぶことで「安くて品質の良いアパレル」を生み出すことに成功したのだとか。これに興味を持った柳井社長は、ユニクロで「SPA生産」に乗り出します。ていうかSPA生産てGAPが名付け親なんですね。知らなかった。

ところでSPA生産方式ってご存知ですか?後ほど説明しますが、一応記事も貼っておきます。

www.nri.com

これを読んでみて「いや、じゃあ逆に今までどうやって服作ってたんだ?」ってなりませんか?それに関連して、少しだけアパレル業界についてお話ししたいと思います。

これはアパレル以外にも、例えばITとかにも当てはまる仕組みかと思いますが、アパレルではものづくりの流れを、特に「川上・川中・川下」と呼びます。上流から下流までの流れのことです。

 

川上:糸とか素材集めて布作ってる、繊維の開発とかもする。

川中:布買って服作ってる、ブランドの企画とかするところも多い。

川下:アパレル店員が服売ってるところ。百貨店やセレクトショップとか。

 

つまり、繊維の会社と服作ってる会社は別なんですね。服を作りたい会社が、上流の会社から布を買って、企画して服を作って、それをさらに卸しているという。

これがどう、買う側に影響するかというと、売買の際に中間マージンが発生して価格に反映されてるわけです。広告もめちゃくちゃ代理店挟むと意味不明に高くなるって、広告屋の友達が言ってました。私怨?

 

要するに、それら全てを圧縮することで低価格を実現したのが「SPA生産」です。自社で川上から川下まで一括して頑張っちゃうってことですね。工場を自分で持っているとかではないので、海外工場などへの委託にはなるのですが、自社から直接お願いしているという点でスケジュールが組みやすく流行に即して早く安く作れるっていうのが強み。ていうかこの、会社挟まないで直接って広告屋でやったらどうなるんだろう。リンチされるんかな?

 

わかりやすいところで言うと、ユニクロの服ってユニクロでしか売ってないじゃないですか。当たり前だけど、あれってユニクロで作った服はユニクロの店舗でしか売ってないのでそうなるという。ZOZOとかでユニクロ売ってないしな。

 

この仕組みで、今までの服作りしてたアパレルが滅びた。同じ品質なら安い方をみんな買うので。

そして、今までの方式で生産していた企業が瀕死になった。高い服が売れなくなったのももちろん、仕事が降りてきてた分までSPAに代替されていったということかと思う。

私個人の意見だけど、広告が高いのってそれなりに意味があると思います。

 

activista24.com

 

ところで、私が物心ついた頃にはまだ「メイドインチャイナは悪」「中国製は品質が悪い」などと騒がれていた時代でした。特に黎明期のユニクロ製品なんかは叩かれていた気がします。

あれから20年。今あなたが着ている服はどこ製でしょうか。

「俺はシャネルしか着ない!」という大富豪の方は別かと思いますが、大体の方はおそらくミャンマー製かインドネシア製、もしくは中国製を着ているかと思います。

ちなみに中国製、今じゃめちゃくちゃ品質良いですよね。ちなみに中国縫製は経済成長やらで工賃が上がったため、アパレルでは労働力がより安いミャンマーインドネシアなんかに委託工場が移っていってるみたいと、前どっかの記事で読んだ。

www.houseiya.net

安い服の方が売れるんだからしょうがないという話。

いやでも確かに、私もめちゃくちゃユニクロ買います。破格だもん、服にそんなお金かけられないのもあるし、やっぱそんな贅沢に買ってられなくて。完全なダブルスタンダードが生まれてしまっている。実際に縫製工場勤めてる友人も別に高い服を着ていたわけではなかった。厳しい。

 

全く話は変わりますが、2021年度の世界長者番付を見てみましょう。

memorva.jp

アマゾンの社長て19兆円も持ってるのか。暇すぎて調べたらベルギーの国家予算だった。アマゾンの社長が1人いるとベルギーの運営ができる。

てか暇すぎて、ユニクロ社長の柳井正氏のWiki見てたら「給料:4億円(2018年度)」でめちゃくちゃ笑ってしまった。ザックリしすぎだろ。ていうか経歴もだいぶ変わってるけど早稲田大学の人って全員変なんですか?

 

さいごに

レナウンの破産について、冒頭の記事で触れられてましたね。

toyokeizai.net

日本一のアパレル企業→バブル崩壊後経営を立て直せず→中国の繊維メーカーに買われる→政治事情により中国から資金供給がなくなる→経営破綻→清算(今ココ)という道を辿った企業です。

家電メーカーとかもそうですが、中国に外注している間にいつの間にか立場が逆転してしまっている状況ニュースでよく見る。今、日本の企業で中国に委託してることってめっちゃ沢山あると思うんですけど、これ何度でも繰り返すなと思う。でもそういうものなのかもしれない。今10年後とかの話できるほどの余裕もないし。でも、ひとつ言えることは、自分が好きなものが没落していくの見るのは絶対つらい。

 

余談:

最後にアパレルの話をもう1つだけしたくて。本当に異常にやばいと思う。

前話したハイエンドのブランド縫ってる都内工場の友人とか、残業がゼロになった上に、空いてしまったからもう1つ下のブランドまで請け負い始めたと言ってたし、当然に新卒の募集停止してた。天下のユナイテッドアローズも今年の新卒求人は行わないそう。バイト先は数年前まで新卒50人くらい採ってたと社員さんに伺ったけど、今年見たら10人未満だった。無くなっていくんだなとしみじみ思った。

 

余談の余談:

ユニクロ佐藤可士和さんというデザイナー兼ディレクターの方がブランディングをされているのですが、そのインタビュー見ながらやっぱりユニクロはすごいんだよな...と思った。すごいから売れているというのはめちゃくちゃ当たり前である。アパレルの状況が悪いというよりもユニクロが圧倒的に凄すぎるために選ばれているという。私もめちゃユニクロの服好きだし。たぶん小売そのものに問題があるというより、見せ方の問題なんだろうなとはしばしば感じる。