ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプマイを考察する無花果様の女

ヒプノシスマイクの考察をせずにはいられないオタク。

ヒプマイを考察する無花果様の女の話

おはようございます。加藤麦茶です。

読み返してみて良かったので、以前書いたものを載せたくなりました。

ヒプノシスマイクの9thライブの話が含まれます。

 

 

ブログを久々に書こうと思って、オフィシャルガイドブックのドラパを書き起こしていた。
簡単に説明すると、中王区の2人、

無花果と乙統女の過去の話が展開されている。

 

ヒプノシスマイクの世界において中王区と呼ばれる居住地域にある「言の葉党」は、女性政権を掲げている。実際に西暦の世界でクーデターを起こし、時の内閣総理大臣を暴力的な手法で(ヒプノシスマイクで)打ち倒した。

そうして東方天乙統女はH歴、内閣総理大臣に就任した。実際には奪った、に近い。

 

東都の中心に「中王区」と呼ばれるペンタゴンのような高い壁を設け、その中は女性のみが住む区画とされている。男性が入るには許可証が必要となり「ディビジョン・ラップバトル」という催しの際には、出場者にその許可証が配られていた。
なお、この世界では男性には10倍の税金が課されているらしい(何税なのかは不明)


まあしかし、女性政権になったところで政策以外に急に何かが変わるわけもなく、キャバクラやヤクザなどは普通に存在しているし、なんなら女性政権内一部に腐敗も見受けられる。

問題なのは女性差別などではなく、人々全員の意識そのものである、というメッセージだと私は捉えている。男だとか女だとか、そんなものは急に変わらず、急に変わるものには意味がついてこない。クーデターも同じだ。

 

度々女性蔑視で批判されているヒプノシスマイクだが、根から掘り起こせば結局のところ、性差によらない世界を描いている作品に思える。

男でも女でも、政治をやれば腐る奴は出てくるし、差別主義者は性別に関わらずどこにでもいるだろう。

 

話は変わるが、9thライブのDAY1に参加した。大門弥生さんとあっこゴリラさんがブラジャーを振り回して「no bra」をパフォーマンスしていた。面白すぎて爆笑してしまったし、会場もそのノリで湧き立っていた。

正直なところ、ヒプノシスマイクのファンがほとんど女性であるからできる芸当である。女性であっても「下品で不快だった」という感想も見受けられた。その感覚は非常に正しいと思う。

 

ホモソーシャルとは、同性間の団結において異性を排除しようとする風潮のことである。キャバクラに行って男性同士で盛り上がるとか、女性同士が男性に聞かせられない下ネタで盛り上がるとか、異性に共感として入る隙を見せないことだ。


一言で説明すると、あの時のライブ空間は女性同士で団結したホモソーシャルな空気で満ちていた。男性にはわからない下着を振り回す面白さ。もちろん根底にはアーティストの「ブラジャーなんて締め付けるものいらないわよ」というフェミニズムがあった。しかし、ブラジャーを振り回すという行為に熱狂する会場で、少数の男性ファンの中には居心地が悪いと感じる者もいるだろう。

 

ただ、結果として女性差別がテーマとなった作品で、こんな大規模なホモソーシャルな空間を作り上げてしまったこと自体に私は価値を感じた。

この演出の後、すぐMCに入った推しが「皆さんの日頃の鬱憤が…」とコメントしていたが、少し苦笑いした。数年前、ニコ生で叩かれても仕方のない発言をしていてガチギレしたことがある。その時にこの人はこういう人なんだなあ、と良くも悪くも思っていた。
だからそのコメントを聞きながら、私たちは常に男性同士のホモソーシャルを感じて生きているんだよなぁ…伝わらないかもしれないけれど、と思った。
悲しいとも言えない感情と、彼がいかに恵まれて生きてきたかをも同時に知り、複雑な心境になった。

 

ヒプノシスマイクがどこに着地するのかはわからない。

東方天乙統女が救われて欲しいとも思うが、彼女がやってきた事の下には多数の犠牲が転がっている。元々そんなことにならないために無花果もすることをすべきだったのにね…と思う。でも彼女らの過去を知るとなんとも言えない。
人を傷つけると元の時間は戻ってこない。

それを乙統女は、今からでも知るべきなのかもしれない。